
THE BAR MOKU(杢)美瑛町
「杢(もく)」とは、木材の木目の中でも、特に装飾性が高く、美しい模様を持つ部分のこと。四季によって表情を変える森の美しさ、木の香りや肌触り、静かな時間の流れ。それらをまちの中心でも体感できる場所をつくりたい――。そんなオーナー○さんの想いからTHE BAR MOKUのプロジェクトはスタートしました。
店内の内装はほぼすべて美瑛町産の木材を使用。地域で林業を営む会社協力のもと、長い時間をかけて森を育て、丁寧に伐り出された木々から生まれたものです。中には銘木市にもなかなか出てこないような希少材もあり、それらを一点一点見極めながら、大切に選び抜かれた材が空間を彩ります。
美瑛町の木として知られる白樺は、そのやわらかく明るい表情が特徴。半個室の間仕切りやパーテーションにこの白樺を採用し、空間に優しさと奥行きを与えています。木の温もりに包まれながらも、人目を気にせずくつろげるプライベートな時間を楽しめる設計となりました。
木の内部が自然に空洞化した希少材「ガッポの木」を、カウンターやテーブル、看板に使用し、ここでしか出会えない木の美しさが際立つ空間を演出しています。「集めた稀少な木々をどう活かすか。トラスト建築工房さんと毎日のように打ち合わせを重ね、ようやく形になりました」と○さん。
「『このガッポの木は、120年以上かけて育てたんですよ』と話してくれた林業の方や、木の目を読み、乾燥の具合を見極めながら、細部に命を吹き込む職人の方たち。そしてわたしたちのたくさんのわがままに真摯に向き合ってくださったトラスト建築工房の高木会長と西尾棟梁には心から感謝しています」。
店内に一歩足を踏み入れると、ふわりと立ち上る木の香りが全身を包み込みます。時間帯や照明によって変わる木の陰影が、空間に静けさと奥行きを与え、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。美瑛の森とまち、人と人をつなぐ場でありたいと願う○さんの想いのとおり、地元の人にとっても観光で訪れる人にとっても「また帰ってきたくなる場所」となることでしょう。















